キリムについて

キリムとは

 

キリム(Kilm)は、トルコ語で「平織り」を意味する。紀元前から、アフリカ、中近東、中央アジア、インドなどの遊牧民が、移動生活の中で、織り、テント・敷物・間仕切り・袋物など生活道具として使ってきたもので、母から娘へ伝えられる手仕事であるために、2枚と同じものはない。

 

その素朴な色とデザインは、19〜20世紀、産業革命による機械文明が発達する中で、逆にヨーロッパやアメリカの人々の心を癒し捉えることになり、一般家庭のタピストリーやリビングマット、玄関マットとして世界中で愛用されるようになる。

21世紀の今、ロンドンやパリでは街のブティックでも、洋服と一緒にオシャレなインテリアとしてのキリムがアンティークから新作まで揃えられている、というほどだ。

 

 

キリムの歴史

 

「絨毯」は“結び”による厚みのあるシキモノ。「キリム」は“織り”による薄いシキモノや壁掛。その起源は、どちらも紀元前にあると言われているが、キリムは軽く移動生活に向いていることから見て、地球上のあちこちの遊牧民の間で発達したものと思われる。

ロシア中部のアルタイ山系にいたトルコ民族が西進し、今のトルコに定住する数千年もの間に、様々な織り方や文様や形状が生まれたという例は、明らかにされている一例にしかすぎない。

古代エジプトには「コプト」と呼ばれるキリムと同類の稀少な布があり、この布の技術が海と陸のシルクロードを辿って京都・西陣の「つづれ帯」につながっているという「壮大な布の旅の話」もある。

又、京都・高台寺には豊臣秀吉が南蛮渡来の「ソマック」というキリムを戦に出陣する前に身につける「陣羽織(じんばおり)」に仕立てた実物が残っており、一年に一回のご開帳時に見ることができる。珍しいもの好きの秀吉の気性が伝わる見事な動物文様である。